五輪真弓がリスペクトする洋楽ポップスのスタンダードを日本語でカヴァーした素敵な1枚。アレンジにデヴィッド・キャンベルを迎え、彼女の声の魅力を余すことなく引き出した、これぞ大人の音楽。

 ・ amazon : 23. Time To Sing (2003)

 約7年ぶりとなるオリジナル・アルバムは、洋楽スタンダードを自身の訳詞((10)のみ作詞)で唄う。熟成しきった楽曲を、しかも自分の言葉で唄うとは、世が世なら(?)向こう見ずと言われかねない作業だが、彼女は見事に“五輪真弓の仕事”に仕上げた。そんじょそこいらの巧さとはレベルの違う、テクニックの巧拙を超えたところでの巧さと深さが光る。
この作品からは、昨今の音楽では忘れられつつあった品格や格調といったものが自然な流れのなかで伝わってくる。収録楽曲はデヴィッド・キャンベルのアレンジで新しい衣をまとってはいるが、根底には名曲としての絶対的な価値が脈打っている。そして彼女は、多くの人の心に生き残りつづけているそれらの楽曲に対する自分なりの尊敬の念を唄心に託して、見事なヴォーカル・アルバムとして提示してくれた。“品格”“格調”がこうした形で私たちに届けられるのならば、日本の音楽文化もまだまだ捨てたものではない、という気がする。 (平原康司) — 2003年05月号

 ・ レコチョク Best : 23. Time To Sing (2003)

 ・ Spotify : 23. Time To Sing (2003) / タイム・トゥ・シング

1. Smile (Instrumental)
2. Try To Remember
3. Danny Boy
4. For All We Know
5. Something (Instrumental)
6. Both Sides Now
7. Your Song
8. Who Knows Where The Time Goes
9. Summertime
10. Traumerei